脳腫瘍

脳腫瘍について

脳腫瘍については、
病理学的に細かく分類すると、
頭蓋内の様々な組織から生じる
150種類以上が存在します。

日本では、脳腫瘍は人口10万あたり
年間約3.5人に発生すると
言われています。
できる腫瘍によって、発症しやすい年齢
（好発年齢と言います）や
部位
（好発部位と言います）に
ある程度の傾向がみられます。

本来の脳の組織の一部からできた腫瘍を
原発性脳腫瘍、
身体の他にできたがんや
肉腫などの細胞が血液の流れによって
脳の中に入り、
脳の組織内で大きくなって
できた腫瘍を転移性脳腫瘍と呼びます。

これらの脳腫瘍は全てが悪性ではなく、
良性と分類されるものもあります。
髄膜種や下垂体腺腫、神経鞘腫も
大部分が良性とされ、
原発性脳腫瘍の
およそ半数は良性である一方で、
転移性脳腫瘍やグリオーマなど、
他の臓器の悪性腫瘍と
同様の経過を辿る腫瘍もあるため、
各種診断によって総合的に腫瘍の性質を
判断し、綿密な治療計画が求められます。

一般的にグリオーマは脳実質内から、
髄膜腫や下垂体腺腫、神経鞘腫は
脳実質外から発生し、それぞれ治療の
アプローチや効果が異なります。
さらに、他の臓器から転移してくる
転移性脳腫瘍では肺がんや乳がんが
主な原因となることが多いため、
全身の精密検査が必要となります。

脳腫瘍の診断と治療について

脳腫瘍の診断はおもにMRI、
CT検査で診断できます。
髄膜腫や下垂体腺腫などの
良性腫瘍は脳ドックなどで
偶然見つかることも多いです。
最近はMRIの性能が向上し、
特殊な撮影法を使って、腫瘍の悪性度なども
ある程度わかるようになりました。

治療に関しては、腫瘍の種類や大きさ、
症状によって、
経過観察、手術、
放射線治療、薬物療法を適切に
組み合わせて治療します。

良性腫瘍は髄膜腫、下垂体腺腫、
神経鞘腫が主なもので、
ほとんどが薬では効かないため、
手術による摘出が根本治療の基本です。

下垂体腺腫は最近では内視鏡手術で
鼻の穴から手術ができ、
頭を切る必要がほとんどありません。
良性腫瘍は可能な限り全摘出を
目指しますが、神経や血管と腫瘍が
絡んでいて、全摘出できないこと
もあります。
その場合、腫瘍が大きくなるのを防ぐために
放射線療法を行うこともあります。
この場合の放射線療法は、ガンマナイフ、
サイバーナイフ、ノバリスなどの
特殊な放射線治療となりますが、
当院で連携している施設があり、
ご紹介いたしますので
ご安心ください。

悪性腫瘍は手術だけで完治は困難で、
抗がん剤や放射線治療を組み合わせます。
悪性腫瘍のなかでも「神経膠腫」は
脳の中に染み込むように発育するため、
手術での全摘出は難しく、
基本的に手術後は放射線治療や
化学療法が必要です。

最近は当院においても腫瘍を
摘出しやすくするために
腫瘍を光らせる薬や、
手術中に特殊なモニタリング装置を使って、
手足を動かす神経を避けて
腫瘍を摘出するなどの工夫を行い、
後遺症を少なくしつつ
腫瘍を多く摘出する方法を採用しています。

脳腫瘍でお困りの患者さんへ

脳腫瘍を患う患者さんの背景は、
一人ひとり異なり、
若く体力のある方も
おられれば、持病をもっていたり
御高齢で体力の弱い方もおられます。

また、腫瘍ができる場所や腫瘍の大きさ、
種類によって、
症状も違いますし
治療の方法も異なります。

当院では、体への負担を考慮しつつ、
個々の患者さんの状態に合わせて、
最適な治療方法を考慮し、
提示しています。
治療方法について丁寧に説明し、
納得頂いたうえで、
最新の技術を用いて
安全で正確な治療を行うことを
心掛けています。

また、必要と判断された場合には
他の病院への紹介も行います。
もし脳腫瘍のことで
お困りのことなどありましたら、
遠慮なく当院へご相談下さい。