診療案内

脳神経外科東横浜病院では脳神経外科の専門病院として、
年間の救急受入患者数は2000人、年間手術数は300件を超えています。

対象となる病気

1.脳血管障害

脳の病気は大きく分けて、脳血管障害と脳腫瘍およびその他に分類されます。それらのうち脳血管障害とは、脳の血管の閉塞(つまり)や、血管の破綻によって起こる病気を指します。実際には血管の詰まりで起こる脳梗塞が圧倒的に多く、続いて細い動脈の破綻で起こる脳内出血や、動脈瘤破裂によって起こるくも膜下出血などが含まれます。いずれも先ほどまで元気であった方が、突然に手足の麻痺や意識障害をきたすなど、危機的な状況に陥るのであり、脳卒中とも呼ばれています。
  • 脳梗塞(のうこうそく)
    脳に血流を送る太い動脈は全部で4本しかありません。これらは次第に枝分かれして脳全体に拡がってゆきます。これらの動脈が詰まることでその先に酸素や栄養が行かなくなり、その領域の脳が部分的に死ぬことを脳梗塞と呼びます。詰まる場所によって脳梗塞の部位や広さは変わり、その領域にみあった症状を呈することになります。その範囲が広ければ、脳のむくみも強くなり、生命に関わることもあります。
    治療としては、その被害も極力小さくすることが目的であり、初期の段階であれば血栓溶解を期待するt-PA(血栓溶解剤) を静脈内投与します。また、t−PAで効果が得られない場合でも 当院では、最新の血管内治療によって血栓回収をおこなえます(海外の論文では約80〜90%の再開通が得られると報告されています)。通常の治療としては点滴および高気圧酸素治療を組み合わせて行い、内服による予防につなげてゆきます。また、脳梗塞再発予防の一つとして、バイパス手術を行うこともあります。このような早期の治療を終了した段階で後遺症に対するリハビリの必要な方には、リハビリ病院への転院をすすめてゆきます。
  • 脳内出血(のうないしゅっけつ)
    脳内出血とは、脳内部に入り込む細い血管から出血し、脳内に血腫を形成する事です。その原因の多くは高血圧に由来し、これを高血圧性脳内出血と呼びます。
    2〜3cm程度の小さな血腫であれば血圧のコントロールなどの内科治療のみとしますが、4〜5cmを越えるような大きな血腫では生命に関わるため、手術が必要になります。手術では。頭蓋骨を開き、脳組織を極力痛めないようにして血腫を直視下に除去します。出血源が見えれば凝固止血します。また血腫が中間的な大きさである場合には、血腫の座標を計算し、親指大の小さな骨の穴から長い管を通して血腫を吸い出す手術を行う場合もあります(定位的血腫吸引除去術)。その後状態の安定を待って、必要に応じてリハビリテーションを行うことになります。
  • くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)
    頭痛をきたす最も怖い病気の一つがくも膜下出血です。脳の血管の一部にできた瘤(動脈瘤)が、ある日突然破裂して、脳の表面に激しい出血をきたす病気です。一般的には「突然、ハンマーで殴られたような経験したことのない痛み」と表現され、重症の場合は即死します。最終的には3人に1人の方は亡くなります。
    しかしながら手術により再出血を防ぐと3人に1人の方は社会復帰されているのも事実であり、手術で助けられる病気の一つでもあるのです。良い結果を生むには、適切な医療機関にかかり、適切な治療を受けることが大事です。我々は、常にその準備態勢を整えており、可能な限りよい結果を生むための努力を続けています。
  • 未破裂脳動脈瘤(みはれつのうどうみゃくりゅう)
    脳動脈瘤は動脈にできる膨らみ(コブ)のことです。脳動脈瘤ができる原因はまだ分かっていませんが、生まれつき動脈の壁に弱い部分のある人が、長年の喫煙や高血圧になったりすることで、この弱い血管壁がさらに脆くなり、脳動脈瘤が発生すると考えられています。
    脳動脈瘤で注意しなければならないことは、脳動脈瘤があっても、一生、何事もなく無症状で過ごす人もたくさんいます。しかし、脳動脈瘤の壁は正常な血管の壁に比べてとても弱くもろいので、突然、動脈瘤が破裂して「くも膜下出血」を起こしてしまうことがあります。
    高血圧や喫煙、大量の飲酒、ストレスなどの生活習慣も破裂を起こしやすい危険因子であると考えられています。
    未破裂脳動脈瘤の治療方針として、①様子観察:定期的に検査を受けて、経過を見る ②開頭術:頭を切って行うクリッピング術という方法で、当院では10日前後の入院 ③血管内治療"頭を切らず"にカテーテルという細い管を血管の中を通し、細いコイルを動脈瘤に詰めて行う方法 があります。それぞれ、一長一短があり、詳しい説明・内容は、担当医にお尋ね下さい。
  • 頚部頚動脈狭窄症(けいぶけいどうみゃくきょうさくしょう)
    頚部頚動脈狭窄症とは、頚部の頚動脈分岐部に血管の狭窄を生じ、これが原因で脳血流量の低下をきたしたり、頭蓋内塞栓の原因となって脳梗塞の原因となりうる疾患です。 以前は、欧米人に多い疾患とされてきましたが、日本人の食生活の内容が年々欧米化するにしたがい徐々に増加傾向を示しており、今後もますます増加すると予測されています。
    治療には、内服薬のみで治療する内科治療と、外科治療として頚動脈内膜剥離術(Carotid endarterectomy:CEA)や頚動脈ステント留置術という血管内治療があります。 狭窄の程度が強く、脳梗塞を起こす可能性が高いと判断された場合、外科治療が必要となります。
    頚動脈ステント留置術は、2008年に保険適応となった新しい治療法ですが、当院でもCEAに加え、2013年から脳血管内治療専門医による局所麻酔下の頚動脈ステント留置術を開始し、患者さんの背景に応じてテーラーメードに治療法を選択し、最善の治療を提供するよう努めています。

2.脳腫瘍

脳腫瘍は、脳にある組織が腫瘍化したものと、脳以外の場所から転移し成長したものに分けられます。前者を原発性脳腫瘍と呼び、後者を転移性脳腫瘍と呼びます。原発性脳腫瘍の代表は、神経膠腫(神経を栄養とする細胞が腫瘍化したもの)であり、約30%を占めます。比較的良性なものから悪性度の高いものまで様々であり、外科的手術と放射線治療、抗ガン剤など併せて治療してゆく必要があるので、当院では集学的治療のできる施設に御紹介しています。その他の原発性脳腫瘍では、下垂体腺腫や髄膜炎、神経鞘腫が代表的な腫瘍です。これらは通常発育が遅く、良性腫瘍に分類されます。そのため外科的に全摘出することで治癒が期待できますが、大きさや場所により後遺症をきたす可能性が高まり、難易度が異なります。当院で対応が困難な場合は、大学病院などへ御紹介しています。

3.脊髄・脊椎疾患

1. はじめに

脊髄・脊椎の病気は若くても発症することはございますが、多くは加齢に伴い人体の大黒柱である脊椎の変性によって増加します。脊髄は脳と手足の間をつなぐ神経の束で、脊柱管という脊椎のトンネルの中を通っています。そのため脊椎が変性してくると脊髄にあたり、様々な神経の症状が出てきます。痛みやしびれといった身体的・精神的な苦痛のみならず、上肢・下肢の運動機能が障害されるため、生活の質が著しく低下してしまいます。脊椎・脊髄は非常にデリケートな臓器で、その治療には専門的な知識と技量が必要とされます。当院での対象疾患は変性疾患(頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア、後縦靱帯骨化症/OPLL、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎すべり症、腰椎分離症、腰部脊柱間狭窄症など)、腫瘍(髄外腫瘍、髄内腫瘍、血管腫、転移性脊椎腫瘍)、脊髄空洞症(キアリ奇形、癒着性くも膜炎)、脊椎外傷、血管障害(動静脈瘻、出血)、感染性疾患(脊椎炎、椎間板炎)など脊椎、脊髄に関するすべての疾患に対応しています。脊椎・脊髄疾患は、運動器である脊椎(背骨)と重要な神経組織である脊髄という二つの性格の異なる臓器が合わさった部分に発症した病気です。このため運動器(骨や関節)を扱う整形外科が手術を行うのか、神経を扱う脳神経外科が手術を行うのか、混乱される方もいらっしゃると思います。しかし現在では整形外科・脳神経外科それぞれで、専門的に手術を行っている医師が多くなってきました。従って専門家であれば、どちらでも問題がないものと思われます。
当院では脊髄・脊椎疾患の主な症状である痛みや痺れの原因を外来でMRIなどを用いて評価し、診断されればまずは外来での治療を開始しますが、どうしてもそれで良くならない方は、手術治療を検討します。リハビリテーションのスタッフも充実しているため、入院中は術後経過をみるとともに、リハビリテーションしてから退院を目指すことができます。
以下、代表的な疾患についてご説明します。

2. 変形性頚椎症

A. 病因・病態
頭を支えながら複雑な首の動きに対応してきた頚椎では、骨と骨の間のクッションの役割を果たす椎間板が老化によって磨り減ってしまい、骨同士がぶつかり合うと骨にトゲ(骨棘)のような変形が出てきます。また背骨の中(脊柱管)で骨同士をつなぎとめる「靭帯」も厚くなってきます。すると、脊柱管つまり脊髄・神経の通り道が狭くなってくるため、脊髄や神経が圧迫されることがあります。つまり、単純に椎間板の老化が引き起こす首の痛みや凝り(肩こり)だけに止まらず、神経までが侵されることがあるわけです。その状態を総称して「変形性頚椎症」と呼んでいます。

B. 症状
症状は大きく分けて3つあります。

  1. 頚椎の不安定性からくる、首の痛み、肩の凝りなどが一般的で、これを軸症と呼んでいます。
  2. 頚椎の間からでる脊髄から枝分かれした神経(神経根)が、骨棘や椎間板で圧迫されて、痺れや痛み、あるいは腕が上がらない・・などの症状を出すことがあります。これを神経根症と呼びます。
  3. 頚椎の中にある脊髄の本幹が骨棘や椎間板などで圧迫を受けて、手足への命令がうまく伝わらなくなったり、手足からの情報が脳へ伝わらなくなり、手足が動かなくなったり、しびれたりする状態で、これを脊髄症と呼んでいます。

C. 診断・検査
レントゲン検査が一般的で骨の変形の有無を見ることができます。しかし、これでは、椎間板の状態や中の脊髄の状態などはまったく判りません。特に、上記の症状のうち、少しでも神経にかかわるような症状、つまりシビレや動きの悪さなどを自覚するようなら、MRIをとることをお勧めします。

変形性頚椎症のMRI

首を横から見て、左がのど側、右が首の後ろ側で、上が頭です。 四角い骨が脊椎の「椎体」と呼ばれる部分です。その間にある、黒く映った凸レンズのものが椎間板(左青矢印)と言う軟骨です。
軟骨が磨り減ってきて後ろの方向へ骨(椎体)の角が出っ張り、骨棘(赤矢印)となって、後ろにあるグレーの部分で脳から連続する脊髄(上青矢印)を圧迫しています。

D. 手術・治療
誰でも老化によってある程度発生しうる症状です。つまり必要以上に病気であると考えないほうがよろしいかと思います。軸症や神経根症は外来診断したのち、投薬を中心とした保存療法を開始します。必ずしも手術が必要というわけではございません。しかし運動麻痺がみられる場合や堪え難い痛みがある場合は手術を行います。脊髄症に関しては、脊髄本幹における物理的な圧迫であり、保存治療に抵抗性のことが多く手術を考えます。
手術は主に椎弓形成術を行います。多椎間に渡って脊髄の圧迫があることが多く、頚部後方を切開し椎弓といわれる骨を形成することで、脊髄の圧迫を解除するというものです。

3. 腰部脊柱管狭窄症

A. 病因・病態
年齢を重ねるごとに腰の椎間板が変性することで、椎間板自体が後方に出っ張り、骨を支える靭帯も厚くなってきます。そうすると下肢を支配している神経が通っている脊柱管が狭くなってきます(狭窄状態)。脊柱管が狭窄してくると神経が圧迫されることによる下記のような様々な症状が出現します。これを「脊柱管狭窄症」と呼んでいます。

B. 症状
腰の椎間板が変性するために、多少なりとも腰痛もありますが、椎体自体がずれてしまう腰椎すべり症になっていなければ、ひどい腰痛は少ないようです。足や膀胱へ行く神経の圧迫症状が主体ですので、歩いていると足がしびれたり、はれぼったく感じたり、力が入らなくなりして、歩けなくなることが多いです。しかし、腰を曲げて少し休んでいると、しびれも取れてまた歩けるようになります。つまり、歩いて休んでということを繰り返すことになります。これを「間欠性跛行」と言います。これは病状の進行とともに歩ける時間がだんだん短くなってくる方が多いです。あるいは足に行く神経一本が圧迫され、どちらかの足やお尻あたりが痛くてしょうがなくなるということもあります。この症状は「坐骨神経痛」といい、椎間板ヘルニアのように、ある日突然急に起きることはなく、ゆっくりとおきてくることが多く、また良くなったり悪くなったりを繰り返す方もいます。

C. 診断・検査
神経を圧迫しているのは軟骨である椎間板と柔らかい靭帯ですので、レントゲンをとってもまったく判りません。つまり歩けなくなっているのに、レントゲン撮影だけで、治療を開始されたとしても良くならない可能性があります。正確に診断するには、MRIかCT scanを撮る必要があります。

腰部脊柱管狭窄症のMRI

腰を横から見て、左が腹側、右が背中側で、上が頭の方向です。 四角い骨が脊椎の「椎体」と呼ばれる部分です。腰なので腰椎といいます。その間にある、黒く映った凸レンズのものが椎間板という軟骨です。
軟骨が磨り減ってきて後ろの方向へ出っ張り、後ろにある脊髄から連続する馬尾神経を(右赤矢印)を圧迫しています。

D. 手術・治療
物理的な圧迫により神経が絞められているわけですから、内服の痛み止めやビタミン剤などの効果は限定的です。効果が期待できるのが、圧迫された神経の血の巡りをよくしてくれるお薬です。これら内服薬や点滴、ブロック注射やストレッチ、体操などが最初に試してみる治療です。これらで小康を保てるのであれば比較的軽い状態かもしれません。しかし効果がなくなってきた場合や、効かないのにずっと続けていても良くなりません。これらの薬物療法は原因を取り除くわけではなく、痛みの敏感な時期をやり過ごすことで、うまく付き合える状態に持っていく治療です。やはり物理的な圧迫がある以上、最終的には「手術」を視野に入れて考えなければなりません。
手術はうつ伏せの状態で腰に切開を入れて、極力筋肉や関節を壊さないように最小の侵襲で椎弓といわれる骨の一部を削り、顕微鏡を用いて神経の圧迫を解除します。

4.三叉神経痛・顔面けいれん

三叉神経痛は、前頭部から顔面にかけて突発的におこる激痛です。原因は、色々ありますが、顔面の感覚に関係する三叉神経に刺激が加わり、痛みが起こります。原因となる異常があれば、それに対して処置を行うことがありますが、まず、薬物治療を行い、痛みが軽減するようなら、様子を見ます。痛みが改善しない場合、手術が有効な症例があります。
顔面けいれんは、目や口唇にピクツキが起こり、酷いと目が開けられなくなります。顔面神経が刺激を受けて起こる病気ですが、顔面の筋肉を一時的に麻痺させる注射で軽減することが出来ます。ただし、効果は一時的で、繰り返し注射する必要があります。また、薬物治療を行う場合もあります。これらが効かない場合、手術が有効な症例があります。
詳しくは受診時にご相談ください。
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